「なぜ伸びないのか。」膝伸展の制限因子⑥

理学療法

こんにちは!バク転PTです!

お待たせいたしました!今回は「皮膚・皮下組織」の評価の続きとアプローチ方法を解説していきます!

今回の記事を読み終わる頃にはかなり、膝関節伸展制限に対して自信を持って介入できるのではないでしょうか。

皮膚の移動と可動域の関連性を評価する

可動域制限の要因として、皮膚の伸長性や癒着が関与しているかどうかを評価する必要があります!

まず、膝関節伸展に伴う皮膚の移動操作で皮下の滑走性を確認します。

腹臥位で膝関節屈曲位とし、大腿遠位部を圧迫します。そこから他動的に膝関節を伸展させ皮下の滑走性を評価します。

さらに、ハムストリングスの筋収縮並びに筋伸長に伴う筋膜の移動が皮膚を面で止めた深部で確認でき、同時に関節運動が生じることを確認します。

これらが確認できていない場合には、皮膚・皮下組織の癒着が生じている可能性が考えられます。

皮膚を動かしただけで可動域が改善される場合も、皮膚・皮下組織の癒着が生じている可能性が高いと感じます。

実際のアプローチ方法

まず徒手操作に入る前に除去しておかなければいけない因子があります。

「浮腫」です。

腫脹や浮腫が長期にわたって続いていると、線維化に伴う皮膚伸長性の低下による可動域の減少が生じます。

なので、圧迫を中心とした腫脹・浮腫管理を徹底し、可動域の低下を防ぎましょう。

浮腫の評価はストロークテストがおすすめです

ストロークテストについて

ストロークテストは膝関節の腫れを判断するための簡便な検査法です。これは、関節内の液体(滑液や血液など)が増加しているかどうかを評価するために使われます。膝にたまった液体を感知することで、関節内に炎症や損傷があるかを間接的に把握することが可能です。

ストロークテストの手順

1.  患者の姿勢: 患者は仰向けに寝た状態で、膝を軽く伸ばしてリラックスした姿勢をとります。
2.  膝の内側から外側にかけてストローク:
•   まず、膝の内側(膝蓋骨の内側)を軽く押しながら上方に向けて滑らせ、液体を膝関節の上部に移動させます。
•   次に、膝の外側(膝蓋骨の外側)を押しながら下方に向けて滑らせ、液体を膝の中央部に戻します。
3.  液体の移動を確認: 外側から液体を押し戻したとき、内側にたまった液体が膝の内側に戻る感覚を手で感じることができるかを確認します。

評価の基準 今回はわかりやすいように「Trace」を省いています。

•   陰性(−): 液体の移動がほとんど感じられない場合は、腫脹が少ないまたはないと判断されます。
•   陽性(+1〜+3):
•   +1:わずかに液体が触れられる程度の軽度の腫脹。
•   +2:はっきりと液体の移動が感じられる中等度の腫脹。
•   +3:大量の液体が触れられ、明らかに膝が腫れている高度の腫脹。

ストロークテストの利点

•   簡単で非侵襲的な方法であり、診察室やリハビリの現場で迅速に評価できる。
•   膝の腫脹程度を定量的に評価でき、治療やリハビリの経過観察に役立つ。

膝の外傷や手術後の回復過程で、腫脹がどの程度あるかを把握するために使われることが多いです。このテストは関節内液の量を確認するための一つの方法で、他の評価と組み合わせて総合的に診断されることが重要です。

本題のアプローチ方法、「皮下組織の滑走操作」について解説していきます。

1つは評価した時と同じように皮膚を上方・下方・内側・外側にスライドさせます。

ここで注意が必要なのは創部の治癒過程です。

皮膚は2週間で修復されるので、少なくとも癒合が始まる10日までは愛護的に寄せるように実施するのがおすすめです。

2つ目は関節運動を伴う方法です!

手もしくは指で皮膚の移動を面で押さえます。

そこから膝関節屈曲運動によるハムストリング収縮と足関節底屈運動による下腿三頭筋の収縮を促すことで、皮下組織と筋肉との間を滑走させます。

この方法は林典雄先生から習ったのですが、筋収縮に伴って筋腹が近位へ移動し、筋腹の移動と反対方向に皮膚が移動することになるので、滑走を促せるとのことです。

伸展+背屈でも同様です。

終わりに

今回で膝伸展制限因子についての解説は一旦終了です。

ここまでみてくれた皆さん、絶対に臨床力がupしていることでしょう。

これからもともに知識を更新して、楽しく仕事をしていきましょうね♪

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